悔しい心音に望む
◇
承認欲求って厄介だ。
と、思いつつ指先が撫でるのはスマホの画面。
ダブルタップでまんなかにハート。
風景。友だち。如何にもって雰囲気の飲食物。たまに自撮り。
青春謳歌しちゃってすぐに可愛い〜って、キャプション付きで次の予定まで組み込んで。
ハッシュタグは流行りもの。友だちだってアピール。
フィルター何枚重ねでつくってるのソレ。
小首傾げて微笑んで。
鏡越しにスマホを翳す。
承認欲求。
見て欲しいよ、可愛い私。
統一感あってスキ、とか言われると、そんなことないよ〜って卑下。
承認欲求。
そういうのは自分でやってよ。
厄介な棘がちくちくしてる。ため息をつく。
フォロワー少なくても私だって可愛いもん。みんな求めてる言葉、一番信用できない “ 可愛い ” 。私が満足すればそれでよくない?
「百亜〜昨日載せてたやつって最近流行ってるスイーツ? 超うらやましいんだけど」
「ふふ。実はたまたま近くに行く予定あったんだよね」
「えー今度はあたし誘ってよ?」
「もちろん! 連絡すんね」
にっこり笑って、ひらりと手を振って。