青い瞳
それだけ書いて、卒アルを閉じて渡す。
「卒業式おめでとう。じゃあね」
多分もう、会えないと思ったからあえて、またね。は言わなかった。
「おい…ちょっと待てよ」
「何?」
「いや、別に…なんでもねぇ」
もう、何なのよ。
「またな」
…またな、なんてあるわけないのに。
校門を出たらもう会うことなんてないのに。
「ん…」
私はそれだけ言って、走って学校を出た。
和哉が教室で卒アルを見てもいいように。
見たら、なんて思うだろう。
でも、書くぐらいいいよね?
「うぅ…」
涙が出てくるよ…何で?
遠くから走ってくる音が聞こえた。
「心乃ーー!」
和哉だ。和哉が走りながら叫んでいる。
多分、卒アル見たんだ。どうせフラれるのはわかってる。だから追いかけないで。
私も負けずと走った。私は足が速い方。
負けない自信があった。が、さすが男子!めちゃくちゃ速い!
なんて感心などしてる場合じゃない。
公園に着いた振り返るが誰もいない。公園にも誰もいない。
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