君は麦わら帽子が似合わない。
「痛いんだけど。ところで僕財布持ってきてないから」
そう言ってコンビニの自動ドアをスタスタ潜った司くんは、ほかに目移りすることもなく、アイスコーナーへと向かった。アイスのクーラーに手を伸ばし、バーゲンダッツを手に取ろうとしている。すかさず、私は躊躇うこともなく、司くんの細い手首を掴んだ。
「なに?」
「500円しか持ってないから。私がダッツ買えない」
「小学生かよ。そしてわがままかよ」
「大丈夫!ポッキンアイスにすれば、アメリカンドックも買える!」
「……ポッキンアイスって。ほんと小学生」
仕方なしに司くんはポッキンアイスを手に取り、私の胸に押し付けた。アイスの冷たい感触と、ありがたかったコンビニの冷房で身体を冷やす。ぶるりと一瞬震えた身体に、司くんは何度目かもわからない溜息を漏らした。