君は麦わら帽子が似合わない。
「薄着しすぎなんだよ」
「8月の中旬だよ?袖ついてるものなんて着てられない」
そのままレジに向かい、アメリカンドックも注文した。
外に出れば今度はむわりと外気が肌をつつみ、鳥肌が引っ込んだ。代わりに汗が排出される。麦わら帽子の中は、汗でぐっしょりだ。こんなことを繰り返していたら、自律神経が混乱してあっという間に夏バテしてしまう。熱を溜め込んだ駐車場は、他よりさらに温度が高い。
「あっつ」
ぼそりと溢した司くんの首筋に、汗が滲んでいる。
男子にしては細くて白い首に玉の汗が浮いていた。私はそれを見て、心臓の奥がきゅうと縮むような気になった。自転車を漕ぐ時や熱気とは違う違和感のようなものが、私の体感温度をますます上げていく。真夏の空の下で、セミがじりじり鳴くこの空間で、生理反応を活発化させる司くんは、まさに未知のものだ。涼しい部屋で、長袖を着て、本を読んだり、スマホをいじっていそうな司くんが、コンクリートの上に浮かんでいる。見たことない夏が、浮かんでいた。感じたことのない気持ちが、汗ばむ肌の内側に生まれていた。
「8月の中旬だよ?袖ついてるものなんて着てられない」
そのままレジに向かい、アメリカンドックも注文した。
外に出れば今度はむわりと外気が肌をつつみ、鳥肌が引っ込んだ。代わりに汗が排出される。麦わら帽子の中は、汗でぐっしょりだ。こんなことを繰り返していたら、自律神経が混乱してあっという間に夏バテしてしまう。熱を溜め込んだ駐車場は、他よりさらに温度が高い。
「あっつ」
ぼそりと溢した司くんの首筋に、汗が滲んでいる。
男子にしては細くて白い首に玉の汗が浮いていた。私はそれを見て、心臓の奥がきゅうと縮むような気になった。自転車を漕ぐ時や熱気とは違う違和感のようなものが、私の体感温度をますます上げていく。真夏の空の下で、セミがじりじり鳴くこの空間で、生理反応を活発化させる司くんは、まさに未知のものだ。涼しい部屋で、長袖を着て、本を読んだり、スマホをいじっていそうな司くんが、コンクリートの上に浮かんでいる。見たことない夏が、浮かんでいた。感じたことのない気持ちが、汗ばむ肌の内側に生まれていた。