君は麦わら帽子が似合わない。
「暑いなら、これ着る?」
「着ないって言ってるだろ」
ビニールバッグから、burnと書かれたTシャツを取り出してみせれば、司くんはとても怖い顔をした。不服そうな、しかめっ面で、ポッキンアイスを咥えている。誘っておいて、買っておいてなんだけど、司くんにポッキンアイスは似合わない。ダッツの方が見慣れてる気がした。ちなみにダッツを食べてる司くんは見たことないのだけれど。
そして、ここまできてもまだロゴTシャツは着てくれないそうだ。私は司くんと同じようにポッキンアイスを咥えながら、仕方なしに空を見上げた。
「君さ、」
「ん?」
「麦わら帽子、似合わない」
ポッキンアイスを咥えていた司くんの口から、その冷たさを帯びたまま言葉が発せられた。今度は私が眉間に皺を寄せて、司くんを睨む。見たことのない夏を目の当たりにしていたが、だんだんと現実に戻ってきた。