王子に嫌われたい!
王子と契約とわたし
後始末は役人に任せ、私たちはお城へと戻って来た。勿論、子供達も一緒にだ。
子供達はその身体を綺麗にしてもらうために、侍女たちに任せ入浴中。
「あ~、疲れたぁ~」
なんか、妙な達成感と心地良い疲れ、ちょっとだけの罪悪感に浸りながら、私たち三人はお茶をしながら一息付けてると、リズが「本気ですか?」と突然聞いてきた。
「あの子たちの事?」
「そうです。本気で引き取る気ですか?」
「そのつもりだけど。あ、大丈夫。町に家を借りてそこでみんなで住もうと思っているから!」
やっぱり町に出て仕事探して、家を借りて自立よね!
「えっ!サクラ、此処から出て行くの!?」
アリオスが焦った様に立ち上がった。
「前にも言ったじゃない。私の未来計画。あの時は自分の状況が今一つわかってなかったし、暗殺だとか色々脅されてたし」
「脅しではありません。事実です」
「まぁ、それが事実でも・・・この間までは竜樹達と契約しても、外で生活しようとは思わなかったんだけど・・・」
でも、今日で事態は急変してしまった。
「なんかさ、守るべきものができると、人間って強くなれるんだね!!」
あぁ、この世界に来て初めてやる気スイッチ入ったわ!!
思わず立ち上がりグッと拳を握ると、リズが何時もの様に私の立てたフラグをへし折り始めた。
「やる気を出しているところ申し訳ないのですが、それは無理かと思います」
「へ?」
「まず、子供達を引き取る事に関しては、厳格な規定があります。サーラ様はそれを何一つ満たしてはおりません」
何度も言うが、この国、この世界に魔法使いは少ない。そして血筋も絶対ではない。
そうなると、貴族様達は一人でも多くの魔法使いを抱えたい。
平民の子で魔力があると、後ろ盾と言う形でその貴族の家に抱えられる・・・まぁ、簡単に言うと『就職』かなぁ。
だって、その貴族の家の為に働くんだから。
通常はそうなんだけど、中には養子として迎えたりもする。
一つの貴族が養子をもらいまくると、そこの家だけ力を誇示してしまうので、それを避けるため養子縁組に関してはかなり厳しい規定を設けられているのだそうだ。
「既定の一つに財産。親となるものの出自の明確。そして両親が揃っている事。もしくは、婚姻の予定のある者、ですね。他にも事細かにありますが・・・残念なことに、サーラ様はどれも満たしておりません」
「っ!な・・・なんですって・・・・」
どれをとっても無理じゃん!最近働き始めて貯金なんてないし、異世界落ちで身分証明できるのは遙か時空の彼方。しかも、婚約者どころか恋人もいないってのに・・・・
「ハードル高すぎっ!!」
思わず蹲り頭を抱えていると、お風呂から帰って来た子供達が驚いたように立ち尽くしていた。
話を聞いてしまったっ!と焦る私に、ルカがどこか諦めたような顔で、私に・・・というよりは、此処にいる人間に聞いてきた。
「僕たち、又、何処かに行かないといけないの?」
あぁ・・こんな顔をさせてしまった・・・
それほどまでに子供達の浮かべるそれぞれの表情。その根底には絶望が揺らめいていた。
私はすぐには何も言えず拳を握りしめる。
何とかできないか・・・他の施設には・・・できれば渡したくない。
他人と住むという事は、ましてや家族と言う形で生活していくという事が、とても大変だという事くらいは、馬鹿な私でも知っている。
でも、彼等・・・ルカ達と出会ってしまった。今はそれが全てで、とても大事な事なのだと、私は思うんだ。
なのに・・・今の私は無力だ・・・悔しいほど、無知なんだ。
でも、どうにかしたい・・・諦めたくない・・・・
五人一緒に・・・という事に固執しなければ、事は簡単に進んでいくと思う。
でも、私はあのナントカ伯爵に宣言している。
皆を引き取ると。
これは、くだらない私の意地とプライドだ。これ以上彼等を傷つけたくはない。私の単なる自己満足と偽善だ。
でも、・・・それでもあきらめたくはない。
私は子供達を抱きしめながら、脳みそをフル回転させる。
要は、私の身分を何とかすればいいんだよね・・・
「ねぇ、リズ」
「・・・何でしょうか」
そう言いながら、苦虫を潰した様な表情を私に向けてきた。
「ちょっと、言う前から何でそんな嫌な顔してんのよ」
「何を言い出すのか、大体想像がつくからです。なので、お断りします」
「えっ!?やっぱりリズって心が・・・・」
「読めません!」
「え~!じゃあ、何で私が言う前から断るのよ」
「大方、サーラ様が私の家の養女に入れないかと、そんな事を考えてたのでしょう?」
「!!凄い!大当たり!やっぱリズって・・・」
「心は読めません。サーラ様が単純で顔に出過ぎるのです」
リズは呆れたように溜息を吐いた。
「それも一つの方法かもしれませんが、子供達全員を引き取ることはできません」
つまり、貴族が養子を、魔力のある子供を迎える場合は人数制限がある。前にも言ったように、一貴族にのみ力を持たせないためだ。
リズも王族とはいえ側室の子供。尚更、魔力を持つ養子を迎えるには色々、デリケートな問題が出てくる。
あぁ・・・詰み・・・か・・・
諦めかけた時、「ですが、一つだけ方法があります」とリズが言った。
「え?」
「子供達を全員引き取ることができます」
「・・・・それって、私が敢えて避けてきた方法?」
ナニ・・とは言わない。でも、リズもアリオスもわかってると思う。
「そうですね。子供達にとってはいい事尽くめですわね。離れ離れになることもなく、家族もできて。まさに一石二鳥ですわ」
「そうだけど・・・・」
私はそれだけ言うと、口を真一文字に閉じた。
子供達はその身体を綺麗にしてもらうために、侍女たちに任せ入浴中。
「あ~、疲れたぁ~」
なんか、妙な達成感と心地良い疲れ、ちょっとだけの罪悪感に浸りながら、私たち三人はお茶をしながら一息付けてると、リズが「本気ですか?」と突然聞いてきた。
「あの子たちの事?」
「そうです。本気で引き取る気ですか?」
「そのつもりだけど。あ、大丈夫。町に家を借りてそこでみんなで住もうと思っているから!」
やっぱり町に出て仕事探して、家を借りて自立よね!
「えっ!サクラ、此処から出て行くの!?」
アリオスが焦った様に立ち上がった。
「前にも言ったじゃない。私の未来計画。あの時は自分の状況が今一つわかってなかったし、暗殺だとか色々脅されてたし」
「脅しではありません。事実です」
「まぁ、それが事実でも・・・この間までは竜樹達と契約しても、外で生活しようとは思わなかったんだけど・・・」
でも、今日で事態は急変してしまった。
「なんかさ、守るべきものができると、人間って強くなれるんだね!!」
あぁ、この世界に来て初めてやる気スイッチ入ったわ!!
思わず立ち上がりグッと拳を握ると、リズが何時もの様に私の立てたフラグをへし折り始めた。
「やる気を出しているところ申し訳ないのですが、それは無理かと思います」
「へ?」
「まず、子供達を引き取る事に関しては、厳格な規定があります。サーラ様はそれを何一つ満たしてはおりません」
何度も言うが、この国、この世界に魔法使いは少ない。そして血筋も絶対ではない。
そうなると、貴族様達は一人でも多くの魔法使いを抱えたい。
平民の子で魔力があると、後ろ盾と言う形でその貴族の家に抱えられる・・・まぁ、簡単に言うと『就職』かなぁ。
だって、その貴族の家の為に働くんだから。
通常はそうなんだけど、中には養子として迎えたりもする。
一つの貴族が養子をもらいまくると、そこの家だけ力を誇示してしまうので、それを避けるため養子縁組に関してはかなり厳しい規定を設けられているのだそうだ。
「既定の一つに財産。親となるものの出自の明確。そして両親が揃っている事。もしくは、婚姻の予定のある者、ですね。他にも事細かにありますが・・・残念なことに、サーラ様はどれも満たしておりません」
「っ!な・・・なんですって・・・・」
どれをとっても無理じゃん!最近働き始めて貯金なんてないし、異世界落ちで身分証明できるのは遙か時空の彼方。しかも、婚約者どころか恋人もいないってのに・・・・
「ハードル高すぎっ!!」
思わず蹲り頭を抱えていると、お風呂から帰って来た子供達が驚いたように立ち尽くしていた。
話を聞いてしまったっ!と焦る私に、ルカがどこか諦めたような顔で、私に・・・というよりは、此処にいる人間に聞いてきた。
「僕たち、又、何処かに行かないといけないの?」
あぁ・・こんな顔をさせてしまった・・・
それほどまでに子供達の浮かべるそれぞれの表情。その根底には絶望が揺らめいていた。
私はすぐには何も言えず拳を握りしめる。
何とかできないか・・・他の施設には・・・できれば渡したくない。
他人と住むという事は、ましてや家族と言う形で生活していくという事が、とても大変だという事くらいは、馬鹿な私でも知っている。
でも、彼等・・・ルカ達と出会ってしまった。今はそれが全てで、とても大事な事なのだと、私は思うんだ。
なのに・・・今の私は無力だ・・・悔しいほど、無知なんだ。
でも、どうにかしたい・・・諦めたくない・・・・
五人一緒に・・・という事に固執しなければ、事は簡単に進んでいくと思う。
でも、私はあのナントカ伯爵に宣言している。
皆を引き取ると。
これは、くだらない私の意地とプライドだ。これ以上彼等を傷つけたくはない。私の単なる自己満足と偽善だ。
でも、・・・それでもあきらめたくはない。
私は子供達を抱きしめながら、脳みそをフル回転させる。
要は、私の身分を何とかすればいいんだよね・・・
「ねぇ、リズ」
「・・・何でしょうか」
そう言いながら、苦虫を潰した様な表情を私に向けてきた。
「ちょっと、言う前から何でそんな嫌な顔してんのよ」
「何を言い出すのか、大体想像がつくからです。なので、お断りします」
「えっ!?やっぱりリズって心が・・・・」
「読めません!」
「え~!じゃあ、何で私が言う前から断るのよ」
「大方、サーラ様が私の家の養女に入れないかと、そんな事を考えてたのでしょう?」
「!!凄い!大当たり!やっぱリズって・・・」
「心は読めません。サーラ様が単純で顔に出過ぎるのです」
リズは呆れたように溜息を吐いた。
「それも一つの方法かもしれませんが、子供達全員を引き取ることはできません」
つまり、貴族が養子を、魔力のある子供を迎える場合は人数制限がある。前にも言ったように、一貴族にのみ力を持たせないためだ。
リズも王族とはいえ側室の子供。尚更、魔力を持つ養子を迎えるには色々、デリケートな問題が出てくる。
あぁ・・・詰み・・・か・・・
諦めかけた時、「ですが、一つだけ方法があります」とリズが言った。
「え?」
「子供達を全員引き取ることができます」
「・・・・それって、私が敢えて避けてきた方法?」
ナニ・・とは言わない。でも、リズもアリオスもわかってると思う。
「そうですね。子供達にとってはいい事尽くめですわね。離れ離れになることもなく、家族もできて。まさに一石二鳥ですわ」
「そうだけど・・・・」
私はそれだけ言うと、口を真一文字に閉じた。