王子に嫌われたい!
リズからあっさり許可が下り・・・いつもは、色々渋るのだが・・・町を散策している。
リズは王子が私に付けた世話係。この世界に不慣れな私にはありがたい人なのだが・・・王子の人選と言うのが引っかかっているけどね。
つまりは、行動が全て筒抜けと言う可能性もあるから。
年齢も二十才と私より年下だが金髪碧眼のこれまた絵に描いた様な美女だけど、あまり表情を表に出さないのでちょっと冷たく感じる。
だけど、とてもしっかりしていて・・・意味もなく敗北感を味あわせてくれる人だったりする。色々とオトナでさ・・・
王子であるアリオスを呼び捨てにし、何の身分もない私に敬称を付ける、ちょっと変な人でもある。
恐らく、親戚関係かとても近しい関係か・・・まぁ、私にはどちらでもいい。例え王子に筒抜けでも、それを上手く利用すればいいのだから。
でも、今現在彼女は専ら私の愚痴聞き専門をしてくれている・・・というか、そうなってしまったと言う方が正しいかも。
初めは怒られちゃうかな?と思ったけどそんなことはなく、何やら感慨深く同意してくれる。
だけど流石に一週間近く愚痴れば、最近はぞんざいな返事しか返ってこない。
まぁ、そう言う人だから、警戒していた気持ちも今では、唯一気を使わなくてもいい私の大事な世話役に昇格していた。
初めて見る町の風景は新鮮で、俯きかけた気持ちがぱっと晴れるような、活気に満ちていた。
自分たちの世界とは違う、どこか「生きている」感がビシビシ伝わってきて、変な言い方だけど、色鮮やかな印象。
なんだか、自分も生き返るって感じで、年甲斐もなく浮かれてしまうのは、許してほしい。
でも、この度の外出する条件として、ローブを身に着ける事を言い渡された。
外見がやっぱり違うため、目立つのだと。
確かに、山脈顔のこの世界の住民に対し、私は正に平野顔だ・・・・凹凸がささやか・・・
くぅぅ~~!腹が立つけど現実はしっかりと受け止めますよ。えぇ、大人ですから。
私は気を取り直し、フードを少し上げて辺りを見回した。
幸運な事に、この世界の文字が読めるので、例えばパン屋の窓に張られている求人広告などをチェックする事ができる。
出来れば住み込み・・・・と、ウィンドウショッピングする振りをしながら探していると、今まで黙って付いて来ていたリズが一言。
「求職活動しようとしても、駄目ですよ」
「・・・・・・・・・・え?」
一瞬何を言われているのか理解できなかったけど、頭の中で認識した瞬間、動揺を隠し切れず後ずさりしながら視線を泳がせてしまった。
まずい・・・・やっぱ、ばれてる・・・
私の脳みそはフル回転するが、良い言い訳なんて浮かんでこない。
早々に諦めた私は大きな溜息を吐き、降参と言わんばかりに胸元で両手を上げた。
そう、リズには何故か隠し事ができない。
今回のようなことが何回もあって、思わす「心読めるの??」と、真面目に聞いてしまったくらいだ。
「心なんて読めるわけないでしょう。サーラ様があまりにもわかりやすいんですよ」
と、鼻で笑われてしまった。
しょうがないので求職活動は一旦諦め、せっかく町に来たのだからと買い物をする事にした。
そう簡単に上手くいくとは思っていなかったけど・・・半端ない落胆がずっしりと、私のガラスのハートにヒビを入れていく。
屋台で飲み物を買い、広場の中心にある噴水を囲む様にあるベンチに二人並んで座って、そして私は溜息を吐く。嫌味臭く、何回も。
そんな私を横目で見ながら、リズは鬱陶しそうに顔を顰めた。
「・・・・求職活動位、目をつむってくれてもいいじゃん」
段々腹が立ってきて、口を尖らせながら私はリズに抗議したけど「無理です」と、取りつく島もなくサクッと切り捨てられて・・・不意に疑問に思っていた事を聞いてみた。
多分これが、問題なんだよ。
「ねぇ、リズ。なんで、アリオスは私に執着するのかな?」
胡散臭い「運命の人」発言じゃなくて、他に理由があるのでは・・・と、思うのだ。
でなければ、十人並の私に求婚なんてするだろうか?あの美形が。しかも周りにはリズの様な美人が沢山アリオスの周りをウロウロしている。
色っぽい恋愛事じゃなくて・・・それが私にとって良い事なのか悪い事なのかわかんないけど、何か求婚せざるを得ない理由があるのではないか・・・
「あぁ・・・それは・・・・」
「え゛っ!!知ってるの!?」
「知ってますよ。多分、何時も周りにいる側近達は確実に」
その衝撃ときたら。声も出ないとはこの事だ。
「私だけ・・・?」
知らないのは・・・・
「いいえ、サーラ様も知っております」
きっぱりと言い切られ、「まさか・・・『運命』云々?」と恐々聞けば、無表情で頷かれた。
私は脱力したようにベンチに倒れ込んだ。
「ですが、サーラ様が思っているような『運命の人』という意味ではないと思います」
「え?それって・・・・」
「まずは、少し魔法の事をお話ししましょう」
そう言って、リズは飲み物を一口飲み、喉を潤した。
リズは王子が私に付けた世話係。この世界に不慣れな私にはありがたい人なのだが・・・王子の人選と言うのが引っかかっているけどね。
つまりは、行動が全て筒抜けと言う可能性もあるから。
年齢も二十才と私より年下だが金髪碧眼のこれまた絵に描いた様な美女だけど、あまり表情を表に出さないのでちょっと冷たく感じる。
だけど、とてもしっかりしていて・・・意味もなく敗北感を味あわせてくれる人だったりする。色々とオトナでさ・・・
王子であるアリオスを呼び捨てにし、何の身分もない私に敬称を付ける、ちょっと変な人でもある。
恐らく、親戚関係かとても近しい関係か・・・まぁ、私にはどちらでもいい。例え王子に筒抜けでも、それを上手く利用すればいいのだから。
でも、今現在彼女は専ら私の愚痴聞き専門をしてくれている・・・というか、そうなってしまったと言う方が正しいかも。
初めは怒られちゃうかな?と思ったけどそんなことはなく、何やら感慨深く同意してくれる。
だけど流石に一週間近く愚痴れば、最近はぞんざいな返事しか返ってこない。
まぁ、そう言う人だから、警戒していた気持ちも今では、唯一気を使わなくてもいい私の大事な世話役に昇格していた。
初めて見る町の風景は新鮮で、俯きかけた気持ちがぱっと晴れるような、活気に満ちていた。
自分たちの世界とは違う、どこか「生きている」感がビシビシ伝わってきて、変な言い方だけど、色鮮やかな印象。
なんだか、自分も生き返るって感じで、年甲斐もなく浮かれてしまうのは、許してほしい。
でも、この度の外出する条件として、ローブを身に着ける事を言い渡された。
外見がやっぱり違うため、目立つのだと。
確かに、山脈顔のこの世界の住民に対し、私は正に平野顔だ・・・・凹凸がささやか・・・
くぅぅ~~!腹が立つけど現実はしっかりと受け止めますよ。えぇ、大人ですから。
私は気を取り直し、フードを少し上げて辺りを見回した。
幸運な事に、この世界の文字が読めるので、例えばパン屋の窓に張られている求人広告などをチェックする事ができる。
出来れば住み込み・・・・と、ウィンドウショッピングする振りをしながら探していると、今まで黙って付いて来ていたリズが一言。
「求職活動しようとしても、駄目ですよ」
「・・・・・・・・・・え?」
一瞬何を言われているのか理解できなかったけど、頭の中で認識した瞬間、動揺を隠し切れず後ずさりしながら視線を泳がせてしまった。
まずい・・・・やっぱ、ばれてる・・・
私の脳みそはフル回転するが、良い言い訳なんて浮かんでこない。
早々に諦めた私は大きな溜息を吐き、降参と言わんばかりに胸元で両手を上げた。
そう、リズには何故か隠し事ができない。
今回のようなことが何回もあって、思わす「心読めるの??」と、真面目に聞いてしまったくらいだ。
「心なんて読めるわけないでしょう。サーラ様があまりにもわかりやすいんですよ」
と、鼻で笑われてしまった。
しょうがないので求職活動は一旦諦め、せっかく町に来たのだからと買い物をする事にした。
そう簡単に上手くいくとは思っていなかったけど・・・半端ない落胆がずっしりと、私のガラスのハートにヒビを入れていく。
屋台で飲み物を買い、広場の中心にある噴水を囲む様にあるベンチに二人並んで座って、そして私は溜息を吐く。嫌味臭く、何回も。
そんな私を横目で見ながら、リズは鬱陶しそうに顔を顰めた。
「・・・・求職活動位、目をつむってくれてもいいじゃん」
段々腹が立ってきて、口を尖らせながら私はリズに抗議したけど「無理です」と、取りつく島もなくサクッと切り捨てられて・・・不意に疑問に思っていた事を聞いてみた。
多分これが、問題なんだよ。
「ねぇ、リズ。なんで、アリオスは私に執着するのかな?」
胡散臭い「運命の人」発言じゃなくて、他に理由があるのでは・・・と、思うのだ。
でなければ、十人並の私に求婚なんてするだろうか?あの美形が。しかも周りにはリズの様な美人が沢山アリオスの周りをウロウロしている。
色っぽい恋愛事じゃなくて・・・それが私にとって良い事なのか悪い事なのかわかんないけど、何か求婚せざるを得ない理由があるのではないか・・・
「あぁ・・・それは・・・・」
「え゛っ!!知ってるの!?」
「知ってますよ。多分、何時も周りにいる側近達は確実に」
その衝撃ときたら。声も出ないとはこの事だ。
「私だけ・・・?」
知らないのは・・・・
「いいえ、サーラ様も知っております」
きっぱりと言い切られ、「まさか・・・『運命』云々?」と恐々聞けば、無表情で頷かれた。
私は脱力したようにベンチに倒れ込んだ。
「ですが、サーラ様が思っているような『運命の人』という意味ではないと思います」
「え?それって・・・・」
「まずは、少し魔法の事をお話ししましょう」
そう言って、リズは飲み物を一口飲み、喉を潤した。