神様にも祝詞 かみさまにものりと
「はぐれるなよ…」
人混みの中
ジンが手を繋いでくれた
ドキ…
ドキ…
ドキ…
「あーぁ…
泣いたから…全部メイク落ちちゃった」
「ごめん…オレが泣かせたから…
…
お化け屋敷、リトが苦手なの知ってたけど
他の男に
リトがかわいいの、見られたくなかった
…
前からサッカー部が来たの見えたから
お化け屋敷入った
…
ごめん…」
そーだったんだ…
「別に、見たって
誰もなんとも思わないよ」
「そぉかな?
…
さっき、神社で手合わせてる時
リト、すげー目閉じてた
あんな、強く閉じなくてもいいだろ
…
リト、かわいかった」
かわいかった…
ドキン…
「もぉ…見ないでよ!
…
かわいかったとか言って
笑ったじゃん!
今も笑ってるし!」
「うん、だって…
だって、かわいんだもん
…
リト、かわいくて
ずっと見てたくなるし
…
誰にも見られたくない…」
ドキ…ドキ…ドキドキ…
ジンと目が合った
ドキドキ…ドキドキ…
「ジン、顔キラキラしてる
あ、たぶん、私のメイクがついたのかも…」
「どこ?
リト、取って…」
「うん…」
背伸びしてジンの顔に手を伸ばした
ドキ…ドキ…ドキ…
さっき
私の口に触れた唇
ドキ…ドキ…ドキ…
ジンの彼女になれたんだ、私
「取れた?」
「んー、もぉちょっと…」
「早く、取れ!
リトの、チビ…」
「もぉ…」
こんなジンも含めて
私は
この人が
大好き…