Destinyー運命の人ー
私は絢斗君がいなくなってからもしばらく玄関に立ち尽くしていた。


すると、ガチャッと扉が開いた。


「ただいま。あら、アヤメどうしたのこんなところに立っているなんて?」


「おかえり、お母様!
なんでもないわ。」



私はそう言ってお母様は自室へ、私は秋人のいるキッチンへ行った。



「ずいぶんと長かったな。誰だったんだ?」



「え、えっーと、お母様?よ。」


「お母様?よってなんだよ…
というか、今日は遅いんじゃなかったのか?」



「わかんないわよ、でもまぁなんでもいいけど。」



「アヤメ…ちょっと、いいかしら。」


お母様が暗い顔で入ってきた。



「えっ?は、はい…」


「さっき、もしかして男の子来てなかった?」



私はゴクリと息を飲む。


絢斗君。


でもそんなこと言ったら秋人に今嘘ついたばかりなんだけど?!



「え、えーっと、へ、部屋を変えましょう、お母様!」



私はそう言って隣の部屋へ移動する。



「秋人はここにいてね!」











「それで、お母様…」



「さっき、私が帰ってくるときにすれ違ったのよ。」



それなら、隠しても無駄か。


「…うん、来ていたよ。
私の制服を届けに…。」



「あの子は、誰なの?」


「クラスメイトの……"絢斗君"。」


「絢斗…
そう、だったのね…(まさか自分娘の思い人が自分の息子だったなんて)」


お母様は今、何を考えているの。


「な、何かあったの?」



「ううん、なんでもないわ。
それじゃあお話は終わり!
ごめんね、アヤメ時間とっちゃって。」



「う、うん、別にいいけど。」


一体なんだったのだろう。



私はとりあえず、秋人の元へ戻った。


「お嬢、お帰り…」


「秋人…」


もしかして、聞いてた?


だとしたら、私が嘘をついたって……



「あっ、あの、秋人…ごめんなさ…」



私が秋人に謝ろうと近づくと秋人はズイッと私の元へ寄る。



「あ、秋人?」


私は少し、また少し後ろへ下がる。


壁にあたり、これ以上下がれないところまで来てしまう。


ドンッッ


「きゃっ」



私はとっさに目を瞑ってしまう。



「俺は…そんなにダメか?」



「え?」


ゆっくりと目を開くと秋人の顔が間近にあった。


「俺に、嘘…ついただろ。
本当は絢斗が来ていたのに。
そんなに俺は信用ないのか?
俺は……」



「ち、違うの、秋人に心配かけたくなくて…」



「そんなことはどうでもいいんだよ!
お前は俺の主人(アルジ)だ俺に心配も迷惑もかけて構わない。
俺はお前の道具なのようなものだ。」


「…違う!
誰が秋人を道具だというの?秋人は大事な私の幼馴染みで大事な人なの!!だから、心配…かけたくない…」


「っ!大事な…人…?
なに勘違いさせるようなこと言ってんだ、このお嬢は。」


「なっ、私、そんな変なこと言ってな……」



いや、大事な人ってなに言ってんの私?!



確かな大事な人だけども、この言い方じゃ確かに誤解を生むわ。



「あっ、えっと、その…」


私は誤魔化そうとキョロキョロと辺りを見回す。


「どうして…絢斗なんかと出会わなければよかむたのに。
そしたら、こんな辛い顔、見なくてすんだのに…」



「秋人…
は、早く離れなさいよ!」


嬉しい反面、この距離が恥ずかしくなり私は秋人を話そうと押す。


「っ…」


でも、秋人は離れるどころか私の腰に手を回し、引き寄せる。



「秋…人…?」



な、な、な、なんなの?!



急にこんなこと…



ドキンドキンドキンと心臓が今にも飛び出そうなほど緊張する。


近いよ、秋人…



どうしよう、きっと顔は真っ赤だ。



秋人…



今の私は


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