きっともう恋じゃない。
「ずっと一緒って、やっぱりちょっと難しいかもな」
隕石とまではいかないにしろ、坂道を転がり落ちるような、突き飛ばされたような衝撃を受けたのに、頭のなかに冷静なわたしがいた。
今更もう、まおちゃんの言うことに驚いていられないというのが近いのかもしれない。
いい意味で驚かされたことがない。
毎度毎度、背中に脂汗が浮かんで動悸が激しくなるようなことばかり言うから、わたしも順応してきてる。
「でも、幼馴染みにずっとはないよ」
まおちゃんが“彼女がいるフリ”をしていたときからずっと、それだけは確かだった。
優先順位が下がっていって、幼馴染みって関係が過去のものになったとき『ずっと』って文字は掠れて消えてしまう。
目を凝らせば見つかるけど、二度と文字を重ねることが難しい三文字だから。
「うん、だからさ」
肩をそっと押されて、まおちゃんの額がコツンとわたしの額にぶつかる。
前髪同士が絡み合って、鼻先がぶつかりそうな距離で、囁くようにそっと。
「俺と、付き合ってください」
返事を確信したような笑みを浮かべて、やっと欲しかった言葉をくれたまおちゃんに、わたしは目を見開いて息を詰まらせる。