きっともう恋じゃない。





七月は期末試験と重なるから帰省しないとまおちゃんから連絡があってから、自分の試験のことを思い出した。

前期末試験の前には普段とちがうスクーリングが組まれていることもすっかり忘れていて、前日になってから急いで支度をする。


スクーリングがあるときは大体数日前から緊張と不安で気分が沈んでしまうのに、今回はそんな暇さえない。

大きめのトートバッグにテキストとルーズリーフ、ペンケース、最低限の荷物だけを入れた。


スクーリングは三日間。

一日目は午前中だけ。

二日目は午後から夕方までといちばん長い。

三日目は午前中の講義が終わり次第解散となるけど、午後は参加者を集めてレクリエーションが行われる。


もともとメディアスクーリングの誘い文句につられて選んだ学校で、通学日数は極端に少ない。

たかが三日、されど三日が重く心に伸し掛るのはそのせいでもある。


明日からスクーリング、と打ってまおちゃんにメッセージを送ったらものの数秒で返事が来た。

『がんばれ』って一言のメッセージ。

いつもならそれだけで舞い上がる四文字なのに、いまいち元気になれない。


声を聞いたら弱音を吐いてしまいそうで、行きたくないって言ってしまいそうで、電話がしたいだなんて言い出せなかった。

まおちゃんから通話の提案もなく、眠れない夜が明けて憂鬱な朝はすぐにやってきた。

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