きっともう恋じゃない。


ちょうど電車で来る子たちが一斉に雪崩れてくるまで、教室の外で三宅さんと話していた。

5歳年上の人とお付き合いをしていること。

週末とかに限らず、相手の仕事の休みに合わせてお泊まりはよくしていること。

三宅さんはあんまり根掘り葉掘り聞いてくるような人ではなかったけど、自分のことを話す流れでしれっと探りを入れられると、わたしも自然とまおちゃんとのことを少しだけ話していた。

もう二年近く付き合っているという三宅さんに、こっちはまだ一ヶ月だと伝えるのは躊躇って、元は幼馴染みであることは白状する。


「うん、久野さんはそんな感じ」

「そんなって……どんな感じ?」

「ピュアな感じ?」


疑問に疑問で返されて、なんだか腑に落ちない。

本当はピュアだなんて言葉が似つかわしくないほど、たくさん遠回りをして、幾度となく間違えてきて、ようやく繋がった想いなのだとは言えなかった。


時間ギリギリになって教室に入ると、新見くんとは昨日と全く同じやりとりをした。

バテモンにはログインしたのかって。もちろんって答えると満足そうに前に向き直る。

これくらいなら別にいいのだけど、グループワークの時間になるとまたよく喋る彼が出てきてしまうのかと考えると、さっきまでの楽しい時間が霞めるほどに憂鬱だった。

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