きっともう恋じゃない。
「眞央がなに考えてるのかわからない」
「俺だって和華が考えてることがわからない」
「そうじゃなくて……もうずっと、わからないままだよ」
眞央のことをもう好きじゃないと言っておきながら、また好きになって告白をして、勝手だと呆れられてもめげずに伝えてきた。
わたしも随分と無茶なことをしてきた自覚はあるし、自分本位も我儘も眞央にぶつけてばかりだ。
心が見えないと嘆いたところで、扉を開けるように布を取り払うように、言葉ひとつで見えるようになんてならない。
言ってくれないとわからない。
そう伝えると、眞央は床に手をついてにじり寄ってきた。
伸ばされた手が頬に触れるか、触れないかの際で、落ちていく。
わたしの足に置いていた手に眞央の手が重なった。
表面は冷たくて、だけどずっと重なっていると隙間に汗が滲む。
しばらくそうしていて、不意に手の位置を逆転させる。
眞央の手を下にして包むようにするけど、到底包みきれない大きさだった。