貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 つらつらと考えていた紅華の胸が、知らず高鳴っていく。

 紅華は、そのたった一人の妃となるのだろうか。

 あの晴明が、自分だけを優しく愛してくれる。

(どうしよう。それはちょっと嬉しいかも。……でも)

 ふいに、晴明ではない人物が胸に浮かんで、慌てて紅華は首を振ってその姿を打ち消す。

(関係ないわ。私は……晴明様の貴妃、なんですもの)



「本当に」

 紅華が胸をドキドキさせていると、後ろから睡蓮の声が聞こえた。

「そのたった一人の妃様が紅華様で、良かったです。晴明様は幸せですね」

「そ、そうかしら?」

 様々な思いが駆け巡って少しばかり混乱していた紅華は、その時の睡蓮の表情を見逃してしまった。


  ☆
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