貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「か、からかうのはよしてください!」

「からかってなんかいない。本当の事を言ったまでだ」

 くつくつと笑う天明に何と返したらいいのかわからず、紅華は天明が入れようとした湯呑みを奪って二人分のお茶を入れ始めた。


「へえ。手際がいいな」

 紅華の手元を見ながら、天明が感心したように言った。

「家では普通にやっていたことですから」

 なるべく天明の方を見ないようにして、紅華はお茶を入れることに専念した。頬が熱いのが自分でもわかる。

(もうっ。早く静まれ!)

 すると、また扉を叩くものがある。

『陛下、失礼します』

「入れ」
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