貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 最後まで目を通した天明は、にこりと笑った。


「うん。よくまとまっている。無理を言って悪かったね、永福」

「とんでもありません。陛下のお役に立てて私も嬉しいです。いつでもお申し付けください」

「ありがとう」

 そうして、紅華にも丁寧にお茶の礼を言って頭を下げると、その官吏は部屋を出て行った。


「陛下のお仕事など、わかるのですか?」

「まあね。俺は何でもできる男だから」

 言いながら天明は、書類を読み続けている。ふざけた口調の割には、その目は真剣だ。紅華は、じ、とそんな天明を見つめる。


「やっぱり」

「何がだい?」

「天明様は」

 紅華は、ことり、と新しいお茶を天明の机に置いて聞いた。

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