貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「晴明陛下の影武者なのですか?」

 天明の手が止まった。短い沈黙の後、天明は、ふ、と笑う。

「ま、そんなもんだ」
「どうして、第二皇子が影武者など……」
「俺は、第二皇子なんかじゃない」

 紅華の言葉を遮るように天明が言った。


「俺は、本来いないはずの人間だからな」

「どういうことですか?」

 天明は、読んでいた書類を卓の上におくと、暗い窓の外に目を向ける。

「俺の母親は、龍可陛下の貴妃だった」

「貴妃……? でも、前陛下の貴妃は……晴明様の……え?」

 混乱する紅華に、天明は苦笑する。
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