貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「ここまで探して見つからないとなると、どこかで倒れているわけではなく自主的に姿を隠しているんだろうが……今日は、例の決行日であることを、紅華殿は知らない。下手な場所にいて巻き込まれでもしたら、彼女の身が危ない」

 そこで、天明はふと気づいた。

「まさか、紅華があいつらの手に落ちたという事はないだろうな?」

 それを聞いて、晴明も、は、としたように顔をあげる。


「紅華殿が、人質に取られたということか?」

「そんな……!」

 睡蓮が、短く悲鳴をあげた。晴明は、冷静に言葉をつなぐ。

「仮にこちらの情報が漏れていたとしたら、その可能性はある」

「今すぐ禁軍で後宮内を探索しろ! 徹底的にだ!」

「落ち着け、天明」

 今にも部屋を飛び出しそうになった天明の腕を、晴明が掴んだ。

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