貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「で、準備は?」

「整っている。あとは、私の合図があれば」

「了解」

「では私は、陛下の支持の通り後宮内を。藍晶宮の方は、すでに手配済みです」

 睡蓮も顔を引き締めて言った。晴明は、厳しい顔つきのまま頷く。

「もし紅華殿の件がなにかしらの手によるものだとしたら、予想以上にここは危険なのかもしれない。至急羽林軍をこちらにむかわせる。くれぐれも気をつけて」

「かしこまりました」

 頭を下げた睡蓮を、晴明は複雑な表情になって見つめた。

「悪かったな、天明」

「ん?」

 いきなり話を振られた天明は晴明を見返すが、晴明は睡蓮に視線を向けたままだ。

「さっきはあんな風にお前を諌めたが……愛する人の身に危険がおよぶかもしれないと思うと、こんなにも心が千々に乱れるものなのだな。……それでも、私は皇帝として、やり遂げなければならない」

 睡蓮はその視線を受けて、心配ないと言うように微笑んで見せた。

「どうか、陛下のお心のままに」

 その言葉も終わらないうちに、晴明は睡蓮をいきなり引き寄せて抱きしめた。

「へ、陛下……!」

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