貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「私が一緒にいけたらいいのに……」

 抱きしめられた腕の強さと微かに感じたその言葉の震えに気づいて、睡蓮は、ためらいながらその体に自分の腕をまわした。


「晴明様も、お気をつけて。傷の一つでもつけたら、許しませんよ」

「心する」

 苦笑しながら、晴明はなごりおしげに睡蓮の体を離した。

「おいおい、いちゃつくのは全部終わってからにしてくれ」

 わざと明るく言った天明に、二人は笑った。


「紅華殿が見つかったら、天明だっていくらでもいちゃいちゃすればいい」

「いいのか? あれは、お前の貴妃だぞ?」

「私の妃は、睡蓮だけだ」

 晴明が視線を送ると、睡蓮は口の中で何かもごもごと否定しながらもほんのりと頬を染めた。

「わかってるよ。……来たようだな」

 微かに扉を叩く音に、天明が気がついた。睡蓮が扉を開けに行くと、そこにいたのは宰相の翰林だった。

 厳しい目をした翰林に一つ頷くと、天明はぎらりと目を光らせる。

「では、始めよう」


  ☆
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