貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「睡蓮様がいらっしゃっていることを知らずに来てしまって、ごめんなさい。お二人の時間を邪魔してしまいましたね」

「いいえ、邪魔などと。にぎやかになって、嬉しいですわ」

 紅華の言葉に、睡蓮も微笑んで頷く。ほ、としたように皇太后も笑った。

 二人は、この穏やかな義母が好きだった。だから人目のない時は、二人とも本当の娘のように名前で呼んでもらっている。


「よかった。実はわたくし、紅華様だけでなく睡蓮様にもゆっくりとお話をしたいと思っていたのです。お二人に……感謝を」

「感謝……ですか?」

 紅華と睡蓮は顔を見合わせる。皇太后は、微笑んだままゆっくりと頭を下げた。

「私の子どもたちを、愛してくれてありがとう」

 は、と二人は顔をこわばらせた。
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