貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「白露に聞いたつわりに効くという茶だ。気分がすっきりするらしい」

「ありがとうございます。わざわざ取り寄せてくれたのですね、天明様」

 笑んでその袋を受け取った紅華を、皇太后は嬉しそうに見つめる。

「天明、紅華様を大事にね」

 少し驚いたような顔をした天明が、紅華を振り返る。紅華は、笑ってうなずいた。
 すべてがばれたと悟った天明は、ばつがわるそうに視線をそらす。


「わかっております。……赤ん坊が生まれたら、どうか抱いてやってください」

「もちろんよ。楽しみだわ。でも先に睡蓮様の方が……睡蓮様?」

 緊張した声で問うた皇太后に驚いて、みんなが睡蓮を振りむいた。唇をかみしめる睡蓮の額には、汗が浮かんでいる。
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