貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「後宮って……それ、本当かい?」
「ええ。今日、ご使者の方が正式にうちへ通達にくるわ。でも私、お嫁に行くなら欄悠じゃなくちゃいや! だからお願い! 私と逃げて!」
「そうか……後宮に、ね」
 泣きそうな顔でしがみついてくる紅華を、欄悠は自分の体から押し離す。紅華が見上げた欄悠は、見たことのない冷たい表情をしていた。


「欄悠……どういうこと?」
 戸惑う紅華だったが、は、と思い当たると急に青ざめた。

「まさか……まさか、あなたも……」
「どうもこうも」
 欄悠は、紅華から離れるとため息混じりに笑った。先ほどまでの柔らかい笑みではなく、それは冷たく突き放した笑みだった。
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