貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「せっかく君と結婚して蔡家の財産を好きに使えるようになると思ったのに、相手が皇帝じゃ、他の求婚者たちにやったみたいな妨害もできやしない。あーあ。恋愛ゴッコもこれで終わりだ。君に取り入るためにかけた金も時間も、全部無駄になったよ」

 愛し合っていると信じて疑わなかった恋人の豹変に、紅華は声も出せずに立ちすくむ。

「だいたい、後宮には俺の姉が淑妃として入っていること、知ってるだろ? 俺が後宮と面倒起こすと、姉の立場も悪くなるって考えなかったのかよ。今後はもう、一切俺と関わらないでくれ」
 それだけ言うと、さっさと紅華に背を向けた。

「あ、そうだ」
 だが、数歩歩いて、呆然とする紅華のもとに戻ってくる。

「欄悠、やっぱり……」
 ぱ、と紅華が笑顔になる。
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