貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「天明様のことは宮中でもあまりよく思わない方が多いので……あの方とお知り合いと思われてしまうと、蔡貴妃様にご迷惑をおかけすることがあるやもしれません」

(どんだけ評判悪いのよ、あの男!)

 呆れた紅華だが、それでも皇族ならばおろそかにはできない。


「わかったわ。それと睡蓮、私からもお願いしていいかしら?」

「どのようなことでしょう?」

「あの、天明様の前での私の失態は、できれば晴明陛下には内緒にしておいてください……」

 尻つぼみに言って上目遣いになった紅華に、睡蓮は目を瞬いた後、微笑んだ。それは、ただの侍女としてというよりも、もう少し親しみのある暖かい笑顔だった。

「かしこまりました。遅くなってしまいましたね。急いで夕餉にいたしましょう」

 睡蓮が部屋をでていくと、紅華は長椅子に座って体の力を抜いた。

「ふう……」
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