貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
ようやく一人になると、思っていたより気を張りつめていたことを実感する。本当に慌ただしい一日だった。
ふと、去り際の天明の言葉が頭によぎる。
『自分が大事なら、一刻も早く後宮を去れ』
微かな声ではあったが、はっきりと紅華の耳に届いた。
「どういうこと……?」
もしかして晴明には、夫にするには何か問題でもあるというのだろうか。いや、そう言った天明こそが注意すべき人物なのかも知れない。では、何のためにあんなことを言ったのだろう。それまでの軽い調子の声音と違うことからしても、単なる冗談とは思えない。
少なくとも紅華には、晴明は好感を持てる青年のように見えた。幸い、これからしばらくは晴明が喪中に入るので、紅華の入宮の儀は喪が明けてからになるだろう。その間に、少しでも晴明の本性を知ればいい。
それでどうしてもだめだと思ったら、貴妃だろうがなんだろうが、振り切って後宮を飛び出してやる。紅華は物騒な考えにたどりついた。
(でも、晴明様……いい人だったな)
その通りの人ならいいな、と紅華は思った。
ふと、去り際の天明の言葉が頭によぎる。
『自分が大事なら、一刻も早く後宮を去れ』
微かな声ではあったが、はっきりと紅華の耳に届いた。
「どういうこと……?」
もしかして晴明には、夫にするには何か問題でもあるというのだろうか。いや、そう言った天明こそが注意すべき人物なのかも知れない。では、何のためにあんなことを言ったのだろう。それまでの軽い調子の声音と違うことからしても、単なる冗談とは思えない。
少なくとも紅華には、晴明は好感を持てる青年のように見えた。幸い、これからしばらくは晴明が喪中に入るので、紅華の入宮の儀は喪が明けてからになるだろう。その間に、少しでも晴明の本性を知ればいい。
それでどうしてもだめだと思ったら、貴妃だろうがなんだろうが、振り切って後宮を飛び出してやる。紅華は物騒な考えにたどりついた。
(でも、晴明様……いい人だったな)
その通りの人ならいいな、と紅華は思った。