貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「皇帝とはいえ、お父様と同じ歳ではないですか? そんな年寄り、絶対に嫌です! それにもう龍可陛下には寵妃様が十人だか二十人だかいらっしゃるのに、なんで今更私が?!」

「お前今、父を年寄り扱いしたな」

 遠慮のない娘の言葉に、父は密かに傷ついた。だが、すぐに立ち直って続ける。商人はいつまでもぐずぐずしないものだ。

「皇帝は俺と同じでまだまだ活動的なお方だ。それに、以前の後宮といえば、百人もの寵妃がいたらしいぞ」

「そんなはるか昔のことはどうでもいいです! だいたい皇帝なんて輩は、権力をかさにきてわがまま放題のがんこじじぃと相場が決まってるじゃないですか!」

「紅華……普段、一体どんな物語を読んでいるんだ」

「それほど間違ってはいないでしょう? なんで私がそんな(ピー)じじぃに……!」

「お前が、蔡家の一人娘だからだ」

 まただ。その意味をよく理解している紅華は、口をつぐむ。
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