貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「無礼な方だなとは思ってましたが、それに加えて自分勝手で能天気な方という印象が増えました」

「……本人を目の前にして、どっちが無礼だか」

「初日から失態をお見せしてしまったので、今さら天明様に取り繕うのは無駄だと思っております」

 ふてくされながら言った紅華を見て、天明は声をあげて笑った。


「本当にお前は面白い奴だよ。……心配するな。犯人の目星はついているんだ。こっちだって、そうそうやられたままでいるわけじゃない」

 その言葉で、紅華は思い出す。


「そう言えば……あの時、一人だけ、天井を気にされた方がいたのです」

「天井? あの場にか?」

 天明の視線が鋭くなる。

「はい。ですから、私も気づきました」

「どんなやつだった?」
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