貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 そんな中でも、紅華のこまごました手伝いをしているのは、やはり睡蓮だった。

「夕べは遅かったのですか?」

 睡蓮が、お茶を渡してくれる。紅華は、あたたかいそれを手で包んだ。

「ええと……そう、ついつい本を読んでしまって」

 とっさに紅華はごまかした。本当は、昨日のことが気になって眠れなかったのだ。


 あれは、事故ではなかったと天明が言っていた。ならば、そこにあるのは明らかな悪意……殺意だ。
 それを考えると、紅華の胸に得体の知れない不安が広がる。

 昨日の天明の怪我も気になる。あんな重そうな天蓋が当たって、本当に打ち身だけですんだのだろうか。様子を見に行こうかと思って気づいた。


(天明様って、どこにいけば会えるのかしら?)
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