夜空彩る花火に
「見る?」

俺が問いかけると、深夜は「見たい!」と頷く。俺は、スマホを操作して「下手だけど……」と最近描いたイラストを見せた。

「……凄い!柔らかいし、何だか切なそうな表情が好き!」

「切なそうに見える……?」

「見えるよ。朝陽は、まだ伸び代がある……もっと上手くなれるよ」

柔らかく微笑んで、色んなイラストを見ながら深夜は俺にアドバイスをくれる。

「……深夜って、話しかけにくいオーラ放ってるけど、話してみると、話しやすいんだね」

俺が言うと、深夜は一瞬だけ辛そうな顔を見せた気がした。

「……そ、そんなこと……」

俯く深夜に、俺は聞いてはいけない何かがあるんだ、と悟った。

「あ、そうだ。お前、部活入らないの?」

だから、俺は話題を逸らす。深夜は、ちょっと安心した顔を見せて、「入らないよ」と首を横に振る。

「……じゃあ、俺ん家来いよ。いっぱい過去絵を見せてあげる!」

俺は立ち上がるとカバンを肩にかけた。

「え?でも……」

「大丈夫!気にすんなよ」

俺が笑うと、深夜も微笑む。そして、家に向かって歩き始めた。



深夜と仲良くなって、1か月。梅雨に入り、ザァッと物凄い雨が降っていた。
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