夜空彩る花火に
その中を、傘を差して俺は道を歩く。今日、母さんがいなくて、昼ごはんを買わなきゃいけないのを忘れてた。

……天気のいい昨日、買っとくべきだった……。

そう思いながら歩いてると、こんな雨の中、傘も差さずに道の隅で蹲ってる誰かがいる。俺は、その子に近づくと声をかけた。

「大丈夫?風邪、引くよ?」

顔を上げたその子は、俺を見て驚いた顔を見せる……って、深夜!?

「あ、朝……陽……っ?」

深夜は俺の顔を見ると、焦ったような顔をした。

「深夜?どうしたの?」

俺が声をかけても、深夜は何も話さない。

「……とりあえず、俺ん家に行こう?風邪引くよ?」

「…………さい」

ポツリと深夜は呟いたような気がしたけど、なんて言ったのかは分からなかった。

「え……?」

「うるさいっ!僕なんかに構わんといて!!僕なんか、僕なんか……いらん存在やし。誰も僕なんか必要としてへん。やったら、消えた方がええっ!!」

俺は、無意識に深夜の頬を叩いていた。深夜は、驚いた顔で僕を見る。

「そんなこと言わないでよ……いなくならないで……」

俺の目からは、涙が零れた。深夜のいつもとは違う喋り方に違和感はあったけど、聞く気になれなかった。

「何でなん?何で、僕なんかを止めるん?」
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