夜空彩る花火に
「……必要だから」

「何で?」

「理由なんかない。でも、深夜の隣にいると心地がいいの。死ぬんだったら、俺も一緒に死ぬから」

俺は、深夜を傘を持っていない方の手で抱き締める。

「……僕は、高校に入学する1か月くらい前に三重県からこの町に引っ越してきた」

「三重県……じゃあ、さっきの話し方は……」

「三重弁」

「へぇ……じゃあ、三重弁でもっと話してみて?」

「しゃあないなぁ。ちょっとだけやよ?……でな、ずっと不安やったんさ。この町で、友達が出来るか……出来ても、皆僕から離れていくんじゃないかって、思うと怖くて行動出来んかった」

涙声で、俺に抱き締められたまま深夜は話した。

「……僕さ、本当は友達を作りたいんや。やけど、なかなか行動に移せへんくて……何も言えない自分が、嫌いなんや……っ。どうしたら……どうしたらええ?」

「……そっか……ちゃんと言えたね。友達が欲しいって……友達、いるじゃん。俺が。少なくとも、俺は深夜のことを友達だと思ってた。深夜は、どう思ってんのかは知らないけど」

俺は深夜を離して、深夜に向かって微笑む。

「……友達とちゃう(違う)気がする……僕にも、三重県には友達はおるよ。やけど、朝陽とおるとな、何て言うんやろ……居心地がええし、自然と朝陽に悩みを打ち明けようって思えた……やから、親友……かな?」
< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop