おはよう世界

ポツリと呟いた心音の声に、その女子生徒も反応する。そして「心音？」と呟いていた。心音の胸がギュッと音を立てる。

転向してきたのは、心音の友達である櫻井芽衣（さくらいめい）だった。曲がったことが嫌いで、どんな相手にも勇敢に立ち向かう心音が憧れている人だ。

「なんだ、二人は知り合いなのか？じゃあ席は隣同士でいいだろ」

先生がそう言い、空っぽだった心音の隣に芽衣が座る。友達が来てくれたことに心音はないてしまいそうなほど嬉しさを感じていた。

「芽衣ちゃん、久しぶりだね」

心音が笑うと、「久しぶり」と芽衣と笑う。そして心音は芽衣に校舎を案内すると約束して授業の準備を始めた。



「こっちが図書室で、あそこに見えているのが科学室だよ」

昼休み、心音はドキドキしながら芽衣に学校を案内する。こうして二人で並んで歩いているだけでも、心音はいじめられているということを忘れられた。

「この学校、意外と広いんだな……」