おはよう世界
昼休みが終わってから、心音は気まずくて芽衣に話しかけることなく放課後を迎えた。
「矢沢さ〜ん!掃除よろしく〜!」
帰る支度をする心音にいじめっ子たちはそう言い、笑いながら帰っていく。心音はため息をつき、誰もいなくなった教室の掃除を始めた。教室の床にあるゴミを掃いていく。
「入学してから掃除してばかりだな……」
心音がそう言いながら手を動かしていると、「あんたはこのままでいいわけ?」と声をかけられた。振り向けば、教室のドアを開けて芽衣が立っている。
「……しょうがないよ。だって、私は弱い存在だから。小学生の頃からずっといじめられて、誰かに従って生きるしかない。そういう人生が私にはお似合いなんだよ」
心音はそう言い、無理やり笑う。何度も悪口を言われ、こき使われたせいか、こんなことを話していても心は何も感じない。そんな心音に芽衣はため息をつき、言う。
「本当に弱いままでいいのか?意思を殺して、自分を捨てて、本当の気持ちに目を背けて、そんなあんたをこれから見続けるのは嫌だ」