ラブ♡ディスタンス【完】
ゲートを抜けて

玄関に逃げ込む。



口元のマスクをはぎ取るように外してから

息をきらして玄関のドアを閉めると

ポタポタと

志樹君の髪の毛から水滴が落ちた。



私の髪の毛からも

水が滴り落ちる。



「ちょっと待ってて」



と言った志樹君の服を
慌ててつかんだ。



待って。
行かないで。

ひとりは...怖い。

雷が、まだ近いから

ひとりは...怖い。



なんて、言えなくて。

黙ったまま

服を掴んでた。
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