ラブ♡ディスタンス【完】
「なんで?
 どっか行きたいところでもあるの?」



『ううん。なんでもない。』



怪しいよね。

私、今の質問にこの回答は
怪し過ぎるよね。


マイカちゃんの、嘘だったのかな...



「あぶなっ!」



目の前をバイクが通り過ぎた。

ほんとに、あと数センチのところを

ギリギリに通った。

私は志樹君に腕を引かれ、

社交ダンスのカップルみたいに

くるくると志樹君の腕の中に

包まれていた。




「信号、まだ赤」



志樹君は、私を腕に抱いたまま、

ゆっくりと言った。



私だけが、こんなにも

ドキドキしている。



私だけが、勝手に―――。




『ご、ごめん。ぼっとしてた』




< 98 / 161 >

この作品をシェア

pagetop