『アイラブユー』なんて言わないよ。
約束のデートの日がやってきた。
「お前って、本当に俺のこと好きなの?」
唐突に、そんなことを聞いてくる彼。
「なんで?」
「いや……。だって、お前、そう言ってくれねぇじゃん」
そう言って、聖也は不満そうに口を尖らせた。
まあ、そうなるだろうな。
だって、彼はいつもわたしのことを好きと言ってくれる。
けれどわたしは、はっきりと言えない。
両思いだって分かってるのに、言えない。
わたしは、彼に好きと返すことができない。
「別に……無理して言えなんて言わないけどさ」
だって、それは君がずるいからだよ。