借物の恋【中学生日記③】
オレが体育祭を、そこまで嫌う理由。それはオレの運動神経が、凄まじく悪かったからに他ならない。
何ゆえに全校生徒、更にその家族なんかにまで、ブザマな走りを晒さなきゃならんのだ。
オレの走る姿は、いわゆる 〈乙女走り〉というやつだった。
腕を横に振り、内股で走るアレ。
さらに情けないことに、慌てると「キャッ」とか声まで漏らしてしまう。
今どき、女子でもこんな走り方しないって。
何度も矯正指導はされてきた。だけど緊張しちゃうと、駄目なのよ……
さらにもう一つ、大きな問題があった。
同じクラスにいる、大好きなあの娘に、オレの走る姿を見られたくなかったのだ。
「ぅっ、奈緒《なお》ちゃん…… オレの走る姿、見るなよ。マボロシなんだからな」
いま、こうして彼女を思い出しているだけでも、胸が苦しい。
どうしよう……
何ゆえに全校生徒、更にその家族なんかにまで、ブザマな走りを晒さなきゃならんのだ。
オレの走る姿は、いわゆる 〈乙女走り〉というやつだった。
腕を横に振り、内股で走るアレ。
さらに情けないことに、慌てると「キャッ」とか声まで漏らしてしまう。
今どき、女子でもこんな走り方しないって。
何度も矯正指導はされてきた。だけど緊張しちゃうと、駄目なのよ……
さらにもう一つ、大きな問題があった。
同じクラスにいる、大好きなあの娘に、オレの走る姿を見られたくなかったのだ。
「ぅっ、奈緒《なお》ちゃん…… オレの走る姿、見るなよ。マボロシなんだからな」
いま、こうして彼女を思い出しているだけでも、胸が苦しい。
どうしよう……