仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
ぴったりな相談相手
「お疲れ様ですー」
後日、私は絵美さんの花屋を訪れていた。もちろん今日も仕事である。
「また発注書を届けに来たので、確認してもらってもいいですか?」
「はーい」
なにかの枝らしきものを両手いっぱいに抱えた絵美さんがやってくる。それをどさりとレジの真横に置き、今日も私を手招きした。
「もっちーさんのこと、待ってたの」
「え? なにかあったんですか?」
「なんにもないけど、あったの」
(なんだろう?)
不思議な言い回しに首を傾げつつ、誘いに乗っていつもの部屋へお邪魔させてもらう。
今日は部屋も店も独特な香りがした。
いつもと違うことと言えばあの大量の枝くらいだから、あれがなにか関係しているのかもしれない。
「はい、今日のお茶」
「いただきます」