仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う～御曹司は新妻への欲情を抑えない～

　私と違い、真里はアパレル企業で営業マンをしている。よく上司への恨みつらみを聞いていたけれど、ついに反撃に出たようだ。

「そっちは？　旦那さんとどうなのよ」

「現状維持。……よりはちょっとよくないかも」

「なによ、話しなさい」

（まあ、こうなるよね）

　カリカリしている真里に失敗を話すのは抵抗があった。でも、ここで話さない選択はない。

　デートを提案したことから、誤解を生んでしまったことまですべて話す。思った通り、聞き終えた真里は大げさに呆れてくれた。

「その流れからそうなる？　初デートで距離が縮まってハッピーエンドじゃないの？」

「現実はうまくいかないってことだね」

「ばか。いい加減うまくいきなさいよ」

（それを一番望んでるのは私なんだよなぁ）