仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「あんまり考えたことないかな。だって相手が誰であっても『結婚式をしたい夫婦』ってことに変わりはないでしょ?」

「もっちーのそういうとこ、ほんっと尊敬する……」

「その調子で私にボーナスが出るよう掛け合ってくれない?」

「やだー。私も欲しいもーん」

「じゃあ、ふたり分もらっちゃお」

「それならあり!」

 笑ったタイミングで電話が入る。ちょうど話題に出ていた皆崎さんからだった。

「はい、お電話承りました。望月です」

『仕事中にすみませんね。先日家内が青い花を使いたいと言っていたが、やっぱりあれは白の方がいいんじゃないかと……』

(ああ、また始まった)

 気を引き締めて、美香に「ごめん、長引きそう」と目で伝える。頑張って、と言うように美香も自分の仕事へと戻っていった。
< 12 / 394 >

この作品をシェア

pagetop