仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 和孝さんのまとう雰囲気が張り詰めていないからだろうか。それとも、私がプレゼントを受け入れてひたすら喜んでいるからだろうか。

 わからないけれど、私の理想としている夫婦はきっとこんな空気で毎日を過ごしている。

「汚さないようにしまってくるね。置いてきたらご飯にしよう」

「準備しておくよ」

「ありがとう。スープはもうよそってあるから大丈夫だよ」

「わかった」

 和孝さんは少し笑ったようだった。きゅんと胸が疼いて、もっとその顔を見ていたくなる。

(私、自分で思ってた以上に和孝さんが好きみたい?)

 一目惚れで止まっていた恋は、うまくいかない期間の間に熟成されてしまったようだった。

 これまで線を引いていた分、今は一挙一動に目が引きつけられる。
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