仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
それぐらいでなければ、私のような女に出会いなどないだろうと思っていたけれど、今はお見合いもよかったのか悪かったのかわからない状況に陥っている。
「もういっそ、全部さらけ出して駄々でもこねてみたら?」
「そんな子供っぽいこと絶対無理」
「もともと子供っぽい性格なんだから、今更だって」
「和孝さんには見せてないの!」
ううう、と呻いた私を見て真里が苦笑する。
何度もこうして相談に乗ってもらっているけれど、いつもこんな感じで解決には向かわない。
溜息を吐いてもう一度アイスティーを飲む。ぬるくなったそれが喉の奥に落ちていった。
「まともな夫婦になるのって難しすぎる……」
「あんたの言うまともがなんなのか知らないけど、原因は自分にあるってわかってるんでしょ?」
「……うん」