仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
どうしようもないとわかりながら、罪悪感に似たものがもやもやと渦巻いていた。
「あの、本当にごめんなさい……」
それしか言えなくて謝罪を口にする。メールを確認したらしい気配を電話の向こうから感じた。
『別にいい。紗枝さんの力になれてうれしいよ』
「和孝さん……」
『一時間後にもう一回連絡する』
「ありがとうございま――」
『大丈夫だから、そんな泣きそうな声を出さないで』
(え……)
言われて自分の頬に手を当ててみる。涙は流れていない。私自身、泣いている自覚はなかった。
でも、言われてみれば喉がぎゅっと締まっている。それこそ、泣く寸前のように。
『じゃあ、またあとで』
「あ……」
私がなにか言う前に和孝さんは電話を切った。
しばらく、音のしなくなったそれを見つめてしまう。
「あの、本当にごめんなさい……」
それしか言えなくて謝罪を口にする。メールを確認したらしい気配を電話の向こうから感じた。
『別にいい。紗枝さんの力になれてうれしいよ』
「和孝さん……」
『一時間後にもう一回連絡する』
「ありがとうございま――」
『大丈夫だから、そんな泣きそうな声を出さないで』
(え……)
言われて自分の頬に手を当ててみる。涙は流れていない。私自身、泣いている自覚はなかった。
でも、言われてみれば喉がぎゅっと締まっている。それこそ、泣く寸前のように。
『じゃあ、またあとで』
「あ……」
私がなにか言う前に和孝さんは電話を切った。
しばらく、音のしなくなったそれを見つめてしまう。