仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 だから私はさっきまで以上に悶々としている。

(サキさん、どうしよう!)

 サキさんから最後に来たメールには「本心を隠さなくてもいい、きっと彼もそれを望んでいるはず。されることを受け入れて」とあった。

 具体的にどうすればいいか聞きたかったけれど、返信する前に和孝さんが上がってきてしまったのだ。

 そして今、私は和孝さんの腕の中にいる。

(う……腕枕……)

 昨日までは背を向けていたのに、今日は向き合っている。それどころか和孝さんは私を抱き締めていた。

 若干の距離は感じるけれど、ここまで近付くと鼓動まで伝わってくる。

 速い、ような気がした。

 自分の心臓がうるさすぎるせいで、和孝さんの鼓動に変化があるかどうかいまいちはっきりしない。
< 242 / 394 >

この作品をシェア

pagetop