仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 こうなるとわかっていたなら下着はもちろん、風呂上がりにいい匂いのオイルを塗ったりパウダーをはたいたり、もっと入念に自分を磨いていた。

 普段から手を抜かないことが大切なのだと、真里が鼻で笑っているように思える。

(あああ、でもだめ。こういうときだからこそ変にうろたえないようにしないと)

 この歳になってこういうことに慣れていないのだとは思われたくない。

 恋愛から遠ざかっていた私を一目惚れさせるほど魅力的な和孝さんなら、それこそ恋愛の経験だって豊富だろう。

 その辺りを深く考えると過去の女性関係を想像することになる。歯ぎしりしそうになるため、余計なことは考えないようにしておいた。
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