仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
ともかく、経験豊富に違いない和孝さんに呆れられないためには私も経験豊富で魅力のある女性を演じなければならない――のだが。
「紗枝さん、もう寝た?」
んひぇ、と思わず漏れそうになった謎の声を飲み込む。
(声が近い! 顔も近い!)
「起きて……ます」
「なんで敬語?」
くす、と和孝さんが笑ったようだったけれど、その顔を見られる心の余裕はとっくになくしている。
余裕のある女を演じるはずが、こんなことで乱されるとは情けない。
「ちょっと……緊張してしまって……」
「……夫婦なのに?」
顔を寄せてきているのか、耳元で低い声が響く。
包み込むような、穏やかで優しい喋り方をする人だとは思っていた。まさかベッドの上ではこんなに甘く聞こえるとは想像もしていない。
「紗枝さん、もう寝た?」
んひぇ、と思わず漏れそうになった謎の声を飲み込む。
(声が近い! 顔も近い!)
「起きて……ます」
「なんで敬語?」
くす、と和孝さんが笑ったようだったけれど、その顔を見られる心の余裕はとっくになくしている。
余裕のある女を演じるはずが、こんなことで乱されるとは情けない。
「ちょっと……緊張してしまって……」
「……夫婦なのに?」
顔を寄せてきているのか、耳元で低い声が響く。
包み込むような、穏やかで優しい喋り方をする人だとは思っていた。まさかベッドの上ではこんなに甘く聞こえるとは想像もしていない。