仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「どっちにしろ三十分耐久は続けるからな」
和孝さんは意地悪だと思う。
すれ違っていた時間を埋めようというのはわかるし、誤解していた分触れ合おうというのもわかるけれど、もう少し順序というものがあるだろう。
身体に腕を回すだけならともかく、こんなにがっつり抱き締められて、しかもときどき甘やかすように背中を撫でられたら慣れる慣れないどころの騒ぎではない。
「俺はずっと我慢してたんだよ」
よりによってなぜ、耳元でそんなことを囁くのか。
本人にその気はなかったとしても、たちが悪い。
「毎晩、紗枝さんを抱き締めないように必死だった。なんで夫婦なのにだめなんだろうって何度も思ってた」
「で、も……」
落ち着かないながらも、聞き逃せなくて言葉を紡ぐ。
「最初の夜に私を拒んだのは和孝さんだよ」
和孝さんは意地悪だと思う。
すれ違っていた時間を埋めようというのはわかるし、誤解していた分触れ合おうというのもわかるけれど、もう少し順序というものがあるだろう。
身体に腕を回すだけならともかく、こんなにがっつり抱き締められて、しかもときどき甘やかすように背中を撫でられたら慣れる慣れないどころの騒ぎではない。
「俺はずっと我慢してたんだよ」
よりによってなぜ、耳元でそんなことを囁くのか。
本人にその気はなかったとしても、たちが悪い。
「毎晩、紗枝さんを抱き締めないように必死だった。なんで夫婦なのにだめなんだろうって何度も思ってた」
「で、も……」
落ち着かないながらも、聞き逃せなくて言葉を紡ぐ。
「最初の夜に私を拒んだのは和孝さんだよ」