仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「……私に妻としての魅力がなかったとかじゃなく?」

「魅力のない人と結婚なんかしないよ。最初から君が好きだった」

 顔を上げそうになって慌てて和孝さんの胸に埋める。

 それはそれで頭がパンクしそうだったけれど、顔を直視するよりはマシだ。

「緊張しすぎてただけなの」

「うん」

「無理矢理されるかもって怖かったわけじゃない……」

「それがわかってよかったよ」

 ずっと言えなかったことを伝えてほっとする。私が不安を感じていたように、和孝さんも気にしていたなんて考えもしなかった。

「一回だけ、ベッドの中で俺に抱き着いてきたときがあったよな。あのとき、おかしくなりそうだった」

 そのときの葛藤を伝えるように、私を抱き締める腕の力が強くなる。
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