仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う～御曹司は新妻への欲情を抑えない～

「もういいんじゃないか、夫婦なんだからってそそのかそうとする自分と、修復不可能な関係になるだろって落ち着こうとする自分といて」

「あれは……友達に言われたの。関係を改善させたいなら、私が……えっと……夜のお誘いをしろって」

「……あのまま続けてくれればよかったのに」

「だって困った顔をしてたよ」

「そりゃあ困るよ。なにも言われずにあんなことをされたんだから。なにかの間違いなのか、それとも俺を求めてくれたのか判断がつかなかった」

「私、失敗したんだと思ってた。困らせちゃったって」

「したい、って言ってくれたら喜んで襲ってたと思うよ」

「襲っ……!?」

「……今の言い方はあんまり紳士的じゃなかったな」

　失言だったというように和孝さんが自分の口元を押さえる。